2760　　婦人用　　紬の着物

濃い藍色に赤糸と藍色の絣糸で花柄を織り成した紬の着物です。
花柄の名前が不明ですので、アールヌーボな洋花としておきます。

誂えられた方のお気に入りの着物だったようです。
何度もお召しになられていた様で、毛羽が取れて、手触りは結城にしてはソフトな風合いに代わっていますが、大事にお召しになられていたようで、着物の傷みはそれほど感じられません。

結城紬の証紙には、本場と石毛の紬マークの二種類ありますが、どちらの証紙も付いていませんので品名や産地は不明です。

石毛は 本場と異なり原料は手つむぎ糸ではないようですが、真綿からつむぐ糸を使用するため、本場に近い風合いを味わうことのできる結城紬です。

そのようなことから、本場と石毛の見分けは、商標が無ければ難しく、結城紬を織っておられる方や経験者の方々は別として、日常、結城紬を扱っておられるプロの方でも見分ける事はできないようです。

糸作りの作業で撚糸（より糸）を使わず、繊維をまとめただけの糸を使用するのは、結城紬だけということで、USBマイクロスコープで糸の撚りを写しています。
（写真13, 14, 15枚目・特に15枚目が見やすいと思います）

本場と石毛の見分けが付きませんので石毛結城として話を勧めます。

石毛結城は茨木県石毛地区の鬼怒川沿いの地域で生産されています。
国指定の重要無形文化財に指定されている本場結城とは異なりますが、その風合いは真綿の良さが存分に感じられ、織り手の心の温かみが伝わる紬の着物に仕上がっています。

紬好きの方には見逃せない逸品ですよ。

胴裏は白の羽二重。
八掛は黄味を帯びた少し暗い赤色の赭（そほ）の無地に染めた精華ちりめんを使用しています。

表裏とも正絹です。

寸法（単位㎝）
身丈（背）151,5　裄66　袖巾34　袖丈45　後巾29　前巾24
広衿　包みスナップが付いています。

衿にファンデ跡が残っています。（写真1,2,8~12枚目）
他にシミ汚れはないようです。

シミ汚れ等は出来る限りチェックしておりますが、見落としのある場合もございます。ご理解のほどお願いいたします。

デジカメの画像です。モニターによって色の違いが出ることがありますので、ご了承ください。

撮影に使用しました半幅帯は今回の出品物ではありません。

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